樹状細胞療法が選ばれる理由
ここでは、樹状細胞療法について調べ、そのポイントについて説明しています。
この治療法を選ぶメリット
そもそもがんの治療に免疫療法を選ぶメリットとは、自分の免疫細胞を用いた治療であることから副作用も少なく、他のがん治療と比較して体にやさしい治療だということではないでしょうか。これまでの治療、すなわち外科治療、放射線治療、抗がん剤は、それぞれ特有の強い副作用を伴うと言えます。免疫療法も数多くある中、すい臓がんに対して樹状細胞療法を選ぶ理由をまとめると以下になります。
- 日本ではまだほとんど認知されていないが、世界ではすでに注目をされている治療
樹状細胞療法は、世界で初めて認可された最先端の免疫細胞療法であり、米国、スイスでは国の承認のもと治療が始まっています(日本はこのままだと10年くらい遅れるのではないでしょうか?)。これまでNK細胞療法や活性化リンパ球療法など、さまざまな免疫細胞療法が研究的な検証、承認に向けてトライされてきたものの、その効果については明らかな有効性は示せませんでした。一方、樹状細胞療法は免疫細胞療法ではじめて有効性を明らかにさせることができた免疫療法です。 - がん細胞のみを標的として攻撃することができます
樹状細胞を注射すると、樹状細胞が体の中の免疫細胞たちを刺激し、特にTリンパ球ががん細胞だけを狙って攻撃してくれるため、他の免疫細胞療法に比較して効率が良いのです。当然、健康な細胞まで攻撃してしまう抗がん剤のように副作用に悩むことはほとんどありません。 - 再発予防に効果
樹状細胞を投与した後に刺激を受けたリンパ球{がんの特徴(しるし)を覚えたリンパ球}は、その一部が体の中に残ります。残ったリンパ球が再びがん細胞に出会うと活性化し、がんを再度攻撃してくれます。この一部のリンパ球は体内にいる間、長期間にわたり効力をもつため、再発予防にも効果が期待できます。 - 副作用が少ない治療法
患者さんの体から採取した自分自身の免疫細胞をもとに樹状細胞を作るため、副作用が少ないのです。 - 入院の必要がありません
約2週間に1回のペースで約3か月の治療。基本的に最初の検査や採血、注射時に通院で治療ができるから入院する必要がありません。 - 転移しているがんに有効
樹状細胞により活性化したがんの印(しるし)を覚えたTリンパ球は、体の中をめぐりめぐってがん細胞のみを攻撃。そのため、転移して、飛び散っているがん細胞にも有効にはたらきます。 - 他のがん治療と併用可能です
最近の樹状細胞療法の論文の報告をみても、抗がん剤や放射線療法の最中でも樹状細胞療法を受けることができ、実績を上げています。
さまざまな免疫療法について
免疫反応において働く細胞は、白血球です。
そして白血球の中にさまざまな細胞が存在し、それぞれが異なる免疫反応を起こすことになります。その主な細胞としては、好虫球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、T細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)が挙げられます。
これらをうまく活用する方法が免疫(細胞)療法で、現在いろんな種類があります。
大きくわけて、まず以下のふたつに分けられます。
- 「特異的免疫療法」
がんの特徴(抗原)を覚えて、がん細胞だけを効率的に狙い撃ちにします。 - 「非特異的免疫療法」
自分の細胞か否かのみを見分けて、自分以外の細胞を非特異的に攻撃を与えるものです。
これまで行われてきた免疫療法であるNK細胞療法、活性化リンパ球療法は、「非特異的免疫療法」であり、そこに限界がありました。そこで特異的にがんを攻撃できる治療法の開発が世界で行われるようになってきました。
そこに、「樹状細胞」という細胞が注目されるようになってきました。
樹状細胞療法はいわゆる「特異的」免疫療法の代表であり、アメリカやスイスでは、世界に先駆けて国の承認を得て国民が治療を受けられるようになってきています。アメリカでは希望患者が多く、公表されている内容を見てみますと、製造のキャパシティーがオーバーしており、治療待ちの状態らしいです。 一方、日本でも樹状細胞療法は、特定の大学や一部の民間医療機関で行われ始めています。すい臓がんにおいても樹状細胞療法の治療実績が出てきており、すい臓がんの患者さんにとっては一筋の光明と言えます。すい臓がんに対する免疫療法では、最近、日本のある医療機関がアメリカの膵臓専門誌にその治療実績を報告し、様々ながん治療がなされているにもかかわらず、延命の可能性が示唆されている等、改めて注目されていることが分かりました。標準的ながん治療、すなわち「標準治療でもう選択肢がなくなったがん患者さん」、「標準治療だけでは不十分の患者といった、困難であった患者さん」においてもなお3割強以上に、がんの縮小や進行停止が確認されているという勇気づけられる内容でもあります。
そもそも免疫療法の分類をすると、がん細胞を攻撃するリンパ球や抗体を人工的に作製して、患者に投与する「受動的免疫療法」と、活性化リンパ球や抗体を患者の体内で作らせるようにしむける「能動的免疫療法」という分け方があります。
また、活性化したリンパ球や樹状細胞等、患者から採取した血液から免疫細胞を回収し、薬剤等を加えて強化した後、患者の体内に戻す「免疫細胞療法」という分け方も挙げられます。
その中で樹状細胞療法は、「特異的」かつ「能動的」な「免疫細胞療法」となります。すなわちがんだけを狙い撃ちすることができ、かつそれを外部の力を借りるだけでなく、体内の力で免疫力を再強化する合理的な治療法といえます。標準治療による効果が既にほぼ期待できなくなってしまった患者さん、またはすい臓がんになってしまったため早めにいろんな治療を試みたい患者さんには、世界のがん治療情勢や、国内でも代表とする医療機関における最新の論文などで明らかになっている科学的なデータ実績という点からも樹状細胞療法を知っておくことはよいと考えます。

参照元:セレンクリニックホームページより
コンテンツ一覧
- 三大療法との違い
- すい臓がんの三大療法である外科手術、抗がん剤、放射線、免疫療法(樹状細胞療法)の違いについて紹介しています。三大療法はいずれもメリット、デメリットがあり、免疫療法を含めてうまく組み合わせることがよいと考えられます。
- 免疫療法とは
- 今、世界のがん治療で注目をされている樹状細胞療法という免疫療法は、転移しているがんにも効果があり、副作用も少ない治療として期待されています。しかし、まだまだ未知数な部分があるようです。ここでは、その未知数な部分について分析しています。
- 治療方法の種類
- 免疫療法の種類には、大きく分けて活性化リンパ球療法(γδT細胞、αβT細胞)、NK細胞療法、樹状細胞療法、CTL療法という治療方法があり、海外ではアメリカ、スイスで最新世代の免疫療法である樹状細胞療法が開始されており、日本では一部の医療機関でその治療法が実施されているようです。
- 樹状細胞療法について
- 樹状細胞療法の概要、、樹状細胞療法の種類、治療の流れなどについて説明していきます。
- 最新の学術成果「1」
- 2011年、アメリカのすい臓専門の学会誌「Pancreas」に掲載された学術成果を紹介しています。この文献では、すい臓がんの患者に対して樹状細胞療法という治療を行ったところ、約3割強の患者に効果があったそうです。