最新の学術成果「1」
2011年、アメリカのすい臓専門の学会誌「Pancreas」に画期的な成果が掲載されました。
東京にあるセレンクリニックという医療機関で行われたすい臓がんの治療結果をまとめた文献で、抗がん剤や放射線など、通常の治療が効かなくなったすい臓がんの患者さんに対して免疫療法の一つである樹状細胞療法という治療を行ったところ、約3割強の患者さんに効果があったというものです。
すい臓がんは初期症状がほとんどなく、がんが見つかった時には転移や浸潤によって手術ができないことが多いがんの一つです。転移したすい臓がんの治療には、通常抗がん剤の「ジェムザール」や「TS-1」を用いた治療を行いますが、進行したすい臓がんではこれらの抗がん剤治療でも治療が難しいと言われています。そのため転移、浸潤によって進行したすい臓がんの余命は3ヶ月ともいわれています。
しかしこの文献によると、すでにすい臓がんの治療を受け他に治療法がないと診断された患者さんに対して抗がん剤と共に樹状細胞療法を行うと、平均して約7ヶ月の間生存したというデータが掲載されています。他治療が無効の進行すい臓がんの患者さんにとっては驚きの結果と言えるのではないでしょうか。
治りにくいがんの代表であるすい臓がんに抗がん剤と樹状細胞療法の併用が有効である可能性が示されたことは、これまで様々な治療を行ってきて効果が期待できなかったすい臓がん患者さんを科学的にも勇気づけられるともに、すい臓がんと診断されたときの早めの対策がよりよい結果につながる可能性を秘めていると十分に考えられます。
さらにこの文献では、抗がん剤と樹状細胞療法とあわせて活性化リンパ球療法と呼ばれる免疫療法を行うと、抗がん剤と樹状細胞療法だけを行った患者さんに比べ、生存日数が100日以上も延びたという報告がされています。
このことから治療が難しいとされるすい臓がん患者さんに対して、抗がん剤と樹状細胞療法だけでなく、活性化リンパ球療法という治療を併用することでより高い治療効果が期待できることが明らかになってきました。
このような文献が日本から出てきたことはすい臓がん患者さんにとっては本当に勇気づけられる話であり、素晴らしいことだと思いれますが、まだまだすい臓がんの治療法は少なく、また決定的な治療がないのが現状です。如何に実績を上げている新しいがん治療の情報を入手し、早めの対策を取っていくことがその後の結果に大きく関わってくることと考えられます。
このような新しい治療が認知されていくことを期待するばかりです。