アメリカで承認された免疫療法「樹状細胞療法」の可能性

免疫療法とは

ここでは免疫療法について、中でも欧米では世界に先駆けて承認され、治療が始まっている「樹状細胞療法」という最新世代の免疫療法について説明していきます。

そもそもがんの治療に免疫療法を選ぶメリットとは、自分の免疫細胞を用いた治療であることから副作用も少なく、他のがん治療と比較して体にやさしい治療であるというところかと考えます。これまでの治療、すなわち外科治療、放射線治療、抗がん剤は、切れ味がいい反面、それぞれ特有の強い副作用を伴うことが多いといえるのではないでしょうか。
そこで免疫療法が治療選択肢に加わることでその副作用が軽減され、かつ効果を高めるといったことが期待されるのです。

さまざまな免疫療法について

免疫反応において働く細胞は、白血球です。
そして白血球の中にさまざまな細胞が存在し、それぞれが異なる免疫反応を起こすことになります。その主な細胞としては、好虫球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、T細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)が挙げられます。これらをうまく活用する方法が免疫(細胞)療法で、現在いろんな種類があります。大きくわけて、まず以下のふたつに分けられます。

  • 「特異的免疫療法」
    がんの特徴(抗原)を覚えて、がん細胞だけを効率的に狙い撃ちにします。
  • 「非特異的免疫療法」
    自分の細胞か否かのみを見分けて、自分以外の細胞を非特異的に攻撃を与えるものです。

これまで1980年代以降行われてきた免疫療法であるNK細胞療法、活性化リンパ球療法は、「非特異的免疫療法」であり、そこに限界がありました。
そこで特異的にがんを攻撃できる治療法の開発が世界で行われるようになってきました。 そこに「樹状細胞」という細胞が注目されるようになってきました。

樹状細胞療法はいわゆる「特異的」免疫療法の代表であり、アメリカやスイスでは、世界に先駆けて国の承認を得て国民が治療を受けられるようになってきています。一方、日本でも樹状細胞療法は、特定の大学や一部の民間医療機関で行われ始めています。免疫療法はまた、がん細胞を攻撃するリンパ球や抗体を人工的に作製して、患者に投与する「受動的免疫療法」と、活性化リンパ球や抗体を患者の体内で作らせるようにしむける「能動的免疫療法」という分け方もあります。

また、活性化したリンパ球や樹状細胞等、患者から採取した血液から免疫細胞を回収し、薬剤等を加えて強化した後、患者の体内に戻す「免疫“細胞”療法」という分け方もあります。
そのような分類において樹状細胞療法は、「特異的」かつ「能動的」な「免疫細胞療法」となります。すなわちがんだけを狙い撃ちすることができ、かつそれを外部の力を借りるだけでなく、体内の力で免疫力を再強化する合理的な細胞治療法といえます。

世界で始まった免疫療法、樹状細胞療法のメリット

免疫療法も数多くある中、樹状細胞療法を選ぶ理由をまとめると以下になります。

  • 日本ではまだほとんど認知されていないが、世界ではすでに注目をされている治療
    樹状細胞療法は、世界で初めて認可された最先端の免疫細胞療法であり、アメリカ、スイスでは国の承認のもと治療が始まっています。これまでNK細胞療法や活性化リンパ球療法など、さまざまな免疫細胞療法が研究的な検証、承認に向けてトライされてきたものの、その効果については明らかな有効性は示せませんでした。一方、樹状細胞療法は免疫細胞療法ではじめて有効性を明らかにさせることができた免疫療法です。
  • がん細胞のみを標的として攻撃することができます
    樹状細胞を注射すると、樹状細胞が体の中の免疫細胞たちを刺激し、特にTリンパ球ががん細胞だけを狙って攻撃してくれるため、他の免疫細胞療法に比較して効率が良いです。当然、健康な細胞まで攻撃してしまう抗がん剤のように副作用に悩むことはほとんどありません。
  • 再発予防に効果が期待できます
    樹状細胞を投与した後に刺激を受けたリンパ球(がんの特徴(しるし)を覚えたリンパ球)は、その一部が体の中に残ります。残ったリンパ球が再びがん細胞に出会うと活性化し、がんを再度攻撃してくれます。この一部のリンパ球は体内にいる間、長期間にわたり効力をもつため、再発予防にも効果が期待できます。
  • 副作用が少ない治療法です
    患者さんの体から採取した自分自身の免疫細胞をもとに樹状細胞を作るため、副作用が少ないです。
  • 入院の必要がありません
    約2週間に1回のペースで約3か月の治療。基本的に最初の検査や採血、注射時に通院で治療ができるから入院する必要がありません。
  • 転移しているがんに有効です
    樹状細胞により活性化したがんの印しるしを覚えたTリンパ球は、体の中をめぐりめぐってがん細胞のみを攻撃します。そのため、転移して、飛び散っているがん細胞にも有効にはたらきます。
  • 他のがん治療と併用可能です
    最近の樹状細胞療法の論文の報告をみても、抗がん剤や放射線療法の最中でも樹状細胞療法を受けることができ、また実績を上げています。

免疫療法の種類

非特異的・特異的免疫療法、受動的・能動的免疫療法、そして細胞を用いた・細胞を用いない免疫療法免疫細胞療法といった分類に分けられます。

さらに、これらは、「活性化リンパ球療法(LAK療法(γδT細胞、αβT細胞)・NK細胞療法)」「BRM療法(免疫賦活療法)」「抗体療法」「ワクチン療法」「樹状細胞療法」「CTL」などに分類されます。

 
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