アメリカで承認された免疫療法「樹状細胞療法」の可能性

第4の治療法(免疫療法 )

ここでは、すい臓がん治療に効果的とされ、実績の出ている免疫療法についてご紹介します。

がん細胞は誰でも持っている?

他のページでも述べましたが、健康な人でも、一日に5000個程度の細胞が、「がん化」していることがわかっています。

しかし、生来人間の持つ免疫力ががん細胞の増殖を抑えて、発症には至りません。

免疫とは…
「疫(病気)を免れる」ためのからだの反応で、外部から進入してきたばい菌やウイルス、内部にできたがん細胞などを排除しようとする、生物が持つ非常に大切な能力です。
がん細胞が発生すると、リンパ球の中でも自然免疫と呼ばれる初期の免疫反応に携わるNK(ナチュラルキラー)細胞等が、発生したばかりのがん細胞を攻撃してくれます。
ところが、がん細胞というはとてもずる賢い細胞で、初期の免疫をたくみに潜り抜けてぬくぬくと成長を始めます。すなわち初期の免疫応答の段階でNK(ナチュラルキラー)細胞等で殺し切れなかった、がん細胞の中でも強者(つわもの)だということです。がん細胞は、そもそもその人自身の細胞由来であり、遺伝子異常等で暴走(増殖)をし始めた細胞であることから、そもそも顔かたちも一見自分自身の細胞のように見えるため、初期の免疫反応に関わるNK細胞はがん細胞と自分自身の正常細胞とを見分けがつかないといった点があります。

がん細胞を「食べる」免疫細胞

免疫細胞の中には、T細胞やNK細胞をはじめとするリンパ球と呼ばれる細胞たちがおり、このリンパ球たちが体内のがん細胞の攻撃に重要な働きをします。
リンパ球をはじめとして、人間のからだに備わっている免疫の力をうまく利用して、がんの発症や進展を抑えようと研究が以前から行われていました。

これを利用してがん治療に応用する治療法が、免疫療法です。
がん治療に利用され始めたのは、1960年代とのことです。
初期の段階では効果が不明確だったり、副作用が出たりしていました。
その後の研究の進歩により、免疫細胞が効率よく、人工的に培養できるようになってきました。

1980年代以降になると、リンパ球の中のうち、初期免疫に関係する「NK細胞療法」、一方、リンパ球の中でもT細胞と呼ばれるNK細胞とは別の殺傷能力を持つ「活性化リンパ球療法」の開発が行われてきました。
これらも当時期待された治療法ではありましたが、結果として期待を上回る治療効果までには至らなかったようです。

1990年代になると、免疫細胞の中で樹状(じゅじょう)細胞の役割が明らかになってきます。
樹状細胞とは、NK細胞のような初期免疫反応を引き起こすことができることに加えて、初期免疫を潜り抜けたがん細胞を叩くための次なる免疫反応、すなわち獲得免疫と呼ばれる進化したがん免疫反応を引き起こすことができる細胞とのことです。
そもそもがんの場合、初期免疫を逃れた強者(つわもの)のがん細胞であるため、それにまさる別の免疫系による攻撃が必要となるわけです。この獲得免疫というのは、がんだけを狙い撃ちすること目的とした、専門の、特化した免疫反応ということです。
樹状細胞療法とは、初期免疫を免れたがん細胞を攻撃することを目的とした、がん攻撃専門の、特化した免疫療法であることがわかってきました。世界の免疫療法のトレンドは、この専門性のある免疫を活用した治療法が、最新であり、中でも、実績が出ているのが樹状細胞を用いた免疫療法(樹状細胞療法)といえます。

がんの中でも、すい臓がんは完治が難しい病気です。とりわけ手術が無理なⅢ期ともなると、放射線や抗がん剤による一定の治療効果しか期待できません。

免疫療法は副作用が少なく放射線や抗がん剤との併用も可能ですし、すい臓がんにおいては、大学等における実績データや実例といった科学的な根拠が出てきています。

樹状細胞療法は日本においても一部の大学病院や国立医療機関で治療として取り扱われつつあります。免疫療法を行っている大学を調べると、中でも樹状細胞療法や活性化リンパ球療法がおこなわれており、樹状細胞療法については、日本においても5件と最も注目されている免疫療法であることがわかります。

種類 取り扱い施設
樹状細胞療法 5
活性化リンパ球療法 2
CTL(T-cell) 2
NK細胞療法 0
NKT療法 0

「医中誌web」で検索(2011.06.13)

 
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